2015-07-15 最終更新
国内では北海道で2001年に初発見後,山口(03年),宮城(04年),青森(04年),広島(07年)などで,野菜や花卉類の葉潜り性の侵入害虫として報告された.発生した各地域で生態と防除法が研究され,防除対策が普及されている.本種は東南アジア(タイ)において1996年に発見された侵入害虫である.タイ北部冷涼地の野菜畑作地帯で同年に大発生し,70種の野菜,48種の花卉に大被害が出た.現地では生態や防除法について精力的に研究され,防除対策が提示されている.
形態:
成虫の体色は同属Liriomyzaのナスハモグリバエ,マメハモグリバエと同じ黄色と黒色である.胸部側面や脚が黒ずむ点で近縁種と異なる.成虫の体長は約2mm,翅長は1.6~2.5mmで,トマトハモグリバエ,マメハモグリバエよりやや大きい.老熟幼虫は体長約3mmで体色は乳白色,後部気門に6~9個の気門小瘤がある.
加害作物:
【畑作物】ジャガイモ.
【野菜】ウリ類,セルリー,トマト,パプリカ,ホウレンソウ.
【花卉】カーネーション,カンパニュラ,キク,サポナリア,シュクコンカスミソウ,トルコギキョウ,ナスタチウム,ヒマワリ,プチアスター,マリーゴールドなどが確認されている.
イヌホオズキやハコベなどの植物にも寄生する.国内では18科37種が報告されている.
被害と生態:
幼虫は,多くの野菜や花卉類の葉に潜り,線状の潜葉痕を葉脈沿いに形成する.老熟幼虫は葉から出て土中や植物体表面に付着して蛹化し,ナスハモグリバエと同じである.ホウレンソウやカーネーションに寄生した場合は,本種である可能性が高い.なお,休眠性をもたず,北海道では露地での越冬が困難とされている.
(2011.12.5 平井一男)