2016-01-29 最終更新
1994年に埼玉県および神奈川県で確認された中南米原産の侵入害虫で,カンキツ類,バラ,イチゴ,ナシ,キク,カーネーション等,多くの園芸作物の害虫として知られている.
形態:
成虫の体長6~9mm.体色は,黒褐色で灰褐色の鱗片を備える.卵は,長径1mm,短径0.2~0.3mmの長楕円形で,卵塊として産卵される.個々の卵色は淡黄色で,白色の保護物質におおわれる.孵化幼虫は黄色で体長約1mm.若齢~終齢幼虫は乳白色で体長6~9mm.老熟すると淡黄色となる.蛹は体長6~9mmで乳白色.
加害作物:
【庭木】イヌツゲ,カナメモチ,キャラボク,ザクロ,サツキ,サルスベリ,ツツジ,ハナミズキ,ヒイラギ,ヒバ,モチノキほか.
神奈川県で被害が確認された作物は以上のとおりである.
被害と生態:
成虫は植物の葉を葉縁部から摂食し,半円形あるいはそれが複合した食痕を残すが,果実は摂食しない.幼虫は地下部を摂食する.一般に幼虫による被害が大きく,とくに乾燥時に顕著である.米国カリフォルニア州における調査では,年1回の発生で新成虫は6月~翌年2月にかけて出現し,そのピークは8~9月である.神奈川県の調査でも5~12月に成虫を確認したことから,同様の生活史と推定される.本種は単為生殖で,雌のみで繁殖する.成虫は摂食開始1~2週間後から,樹皮の割れ目や茎の裂け目,果実のへたの裏側などに産卵する.孵化幼虫は活発で直ちに土壌中に潜り,寄主植物の根部を摂食する.老熟幼虫は土壌中に蛹室を作り蛹化する.成虫は飛翔できないため,土壌中から出現した成虫は歩行により付近の寄主植物へ移動する.
(2011.11.16 鈴木誠)