2015-09-15 最終更新
病徴:
病斑は散在し,濃褐色から黒褐色,類円形から不整形,のちに中心部が灰黒色,健全部との境が黒褐色の細い帯状,さらに外側が赤みを帯びることがあり,拡大融合し大型の病斑となる.大きさは3~20mm.
病原:
Pseudocercospora puderi Deighton
糸状不完全菌類である.菌体は両面生,子座はおもに表面生,褐色,径20~50μm,病斑上を遊走する外生の菌糸を伴う.分生子柄は子座の上部より叢生,もしくは外生の菌糸から単生,単条,極まれに分岐,真直ないし屈曲,淡褐色,23~40×2.5~3.8μm.分生子形成細胞は先端に形成され,シンポジオ型に伸長し,分生子の離脱痕は肥厚しない.分生子は円筒形から倒円筒形,やや粗面,淡オリーブ褐色,基部は倒円錐状で截切状,肥厚しない,先端は鈍頭,15~50×2.5~3.8μm.
伝染:
完全世代は知られていないが,分子系統解析の結果から“mycosphaerella様”である.他のPseudocercospora属菌と同じく,落葉上で越冬し,翌年新たに形成した分生子が感染源となっていると考えられ,病落葉の除去が伝染環を断つのに重要となる.類似する病害である斑点病とは病原が異なるが,日本で記載されている病徴では判別できないため顕微鏡下で観察する必要がある.
(2012.1.31 中島千晴)
参考:バラ類葉枯病(褐色葉枯病) →