2015-07-15 最終更新
病徴:
日本ではクロマツのみで,苗木と成木(庭園木)で被害が生じている.当年葉の発病は9月から生じる.針葉の上半部に褐色,長さ1.5 mmの病斑が生じ,病斑から上方がしばしば枯死する.病斑と健全部との境界は明確である.発病葉は翌年新葉が展開する以前にほとんどが落葉する.病斑には黒色の子座が露出し,湿潤時に大きく目立ち,くさび形を呈することもある.
病原:
Lecanosticta acicola(Thümen)H.Sydow
〔異名Septoria acicola(Thümen)Saccardo〕
分生子果不完全菌類に属する.子座は暗オリーブ色,大きさ200~400×100~200μm,表皮細胞を破り,これを持ち上げる.分生子柄は淡褐色~褐色,円筒形.分生子は紡錘形~円筒形,大きさ20~53×3.3~5μm,表面に小いぼを生じ,1~5(普通3)隔壁,はじめ半透明,のち暗褐色.培地上での菌叢の成長は10~30℃で認められ,20~25℃が適温.北・中央アメリカでは完全世代Mycosphaerella dearnessii Barr の発生が報告されているが,日本では未確認.
伝染:
病葉中で菌糸または子座の形で越冬する.分生子は4~12月に形成が認められて,降雨時に分散して感染する(雨媒伝染).
(2011.9.9 周藤靖雄)