2015-07-15 最終更新

病徴：
(1)，(2)の病原とも，おもに葉の裏面に発生し，胞子堆形成部周囲が黄色に変化するが，枯死部の進展は少ない．

病原：
(1) Puccinia miyoshiana Dietel
(2) Puccinia pusilla Sydow.& P.Sydow
担子菌類に属す．
(1)の夏胞子堆は粉状，黄褐色，夏胞子は球形から広卵形，表面に細刺をもち，黄褐色，大きさ（20～）22～26×19～23（～25）μm，発芽孔は3または4個，赤道部に存在，膜厚約2.5～3（～3.5）μm．冬胞子堆は粉状，早く表皮から露出し黒褐色，冬胞子は2細胞，楕円形，表面平滑，栗褐色，大きさ（29～）30～43（～48）×（16～）19～26（～28）μm，膜厚は側面で2～3μm，先端で6～10（～14）μm，柄は永存性，100μmに及ぶ．しばしば単細胞の胞子も混在する．ヒメアブラススキを夏胞子・冬胞子世代の宿主，セリ科のホタルサイコを精子・さび胞子世代の宿主とする異種寄生種である．
(2)の夏胞子堆は粉状，黄褐色，頭部が丸い糸状体に囲まれている．夏胞子は大きさ20～28×16～22μm，卵形，膜厚は側面で1.5～2μm，黄褐色，頭部ではやや厚く，色も頭部と基部で濃く，表面の細刺も頭部と基部でより発達，発芽孔は3～5個，赤道部に存在．冬胞子は29～36×20～25μm，広楕円形から卵形，膜厚は側面で1.5～2.5μm，頭部で2.5～5μm，栗褐色，柄は永存性，無色～淡黄色，65μmに及ぶ．．精子・さび胞子世代は不明．

伝染：
(1)は，春に中間宿主上に形成されるさび胞子により第一次伝染が起こり，形成される夏胞子により伝染が繰り返される．冬前に冬胞子が形成され，枯死した宿主上で越冬し，春に担子胞子によって中間宿主への感染が起こる．
(2)は，春期にまだ不明の中間宿主上のさび胞子により第一次伝染が起こると推定される．
（1）（2）とも，夏胞子は風あるいは霧をともなった風により伝播する．冬胞子の発芽により生じた小生子（担子胞子）は風によりごく近距離へ伝播する（風媒伝染）．

（2012.5.29 金子繁）

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