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カツラ赤衣病

あかごろもびょう

Pink disease

2015-07-15 最終更新

病徴:
5月ころより樹皮の表面に淡桃白色の菌糸網が発達し,しだいに樹皮全面が桃白色の菌糸膜におおわれる.6月から9月にはその表面が担子胞子の形成により粉状を呈する.本病は亜熱帯・熱帯地域で多くの木本植物に発生し,胴・枝枯れを起こす.アカシア・アルビシアなどの早生樹やマホガニ-・カカオなどの特用樹に被害が多い.日本では近年各地のイチョウに発生し,胴・枝枯れを起こして問題になっている.また関東以南各地の植物園で,トネリコ属やカエデ属のほか導入樹木類に発生して被害を与えている.

病原:
Erythricium salmonicolor(Berk.& Br.)Burdsall
〔異名Corticium salmonicolor Berkeley & Broome〕
担子菌類に属し,菌糸膜表層に担子のうと側糸よりなる子実層と,分生子座を形成する.担子柄は棍棒状で,24~135×6.5~10μm,頂端に2~4個の小柄を出し,各1個の担子胞子をつける.担子胞子は楕円形ないし倒卵形,無色,単細胞,滑面で,基部に微小突起を有し,9~17×7~12μm.分生子座は径0.5~3mm,橙赤色の偽柔組織よりなり,表層部に分生子を形成する.分生子は単細胞,やや多角状,10~35×7~17μm.

伝染:
担子胞子と分生子とも,雨のしぶきによる飛散(雨媒伝染),強風による飛散(風媒伝染)と,昆虫などの体表に付着して運ばれる虫媒伝染により伝播する.

(2012.4.5 小林享夫)

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カツラ赤衣病(小林享夫)