2015-09-25 最終更新
病徴:
葉にはじめ黄褐色のち褐色で周りに黄色のハロ-をもつ円斑を生じ,のち10~30mm大で縦長紡錘状の病斑となり,しばしばたがいに融合して大きな先葉枯れ病斑を形成する.病斑上には微小黒点(病原菌の分生子殻)を散生し,雨後の湿潤時には頂部に白色粘塊を押し出す.
センネンボクは観賞用の常緑小高木で,鉢植えで喫茶店などに飾られている.本病は南西諸島ではごくふつうに発生している.
病原:
Phyllosticta cordylinophila P.A.Young apud Stevens
分生子果不完全菌類に属する.分生子殻は黒色球状で,はじめ埋生のち表皮を破って頂部を現す.径100~140μm,高さ60~110μm.殻壁は厚さ12~15μmで,黒色の不整形細胞よりなる.最内層に無色・円錐状の分生子形成細胞を並列し,分生子を形成する.分生子は無色,単細胞,倒卵形~楕円形,7~12.5×5~7.5μm.表面を粘質被膜でおおわれ,頂部に無色で粘質の付属糸をつける.付属糸は長さ5~10μmだが,時に20~30μmに達するものもある.
伝染:
雨の後など湿潤時に分生子殻頂部の孔口から白色の分生子粘塊を押し出し,これが雨滴とともに飛散し(雨媒伝染),また昆虫などの小動物の体表に付着して伝播する(虫媒伝染).南西諸島では周年,伝播・感染が行われている.
(2012.4.5 小林享夫)