2015-07-15 最終更新
病徴:
キュウリ果実表面に軽い凹凸をともなうモットル症状が典型的な病徴であり,葉での病徴は一般に軽微である.キュウリ幼苗に接種しても発病までに20日から1か月以上かかることから,初期症状は軽微である.
病原:
Cucumber mottle virus
Tobamovirusに属する長さ約300nm×幅15nmの棒状粒子である.耐熱性は90℃で10分以上,希釈限界は105程度,耐保存性は未検定であるが,きわめて長いと思われる.このように本ウイルスはきわめて安定なウイルスである.これまでに自然発生が報告されたのはキュウリのみである.接種検定による宿主範囲は比較的狭く,全身感染するのはウリ科作物とNicotiana benthamianaに限定される.また,Chenopodium amaranticolorやペチュニアには局部病斑を生じる.
伝染:
機械的接種が可能で,管理作業など感染植物の一部に触れた手や指で他の苗を触れると伝染する.ウイルス粒子がきわめて安定なために,葉と葉がこすれあっただけでも伝染すると思われる.また,土壌伝染や種子伝染もする可能性があるが,確認はされていない.虫による伝搬の可能性は低いと思われる.
(2013.8.15 花田 薫,今村幸久)