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パラグラスミイラ穂病

ミイラほびょう
Black choke

2015-11-10 最終更新

病徴:
1~4月にかけて発生し,沖縄県石垣市でのみ発生が確認されている.感染株では穂が灰色から黒色の菌叢におおわれ,枝梗がたがいに接着された状態となり,全体がかびて種子が生産されない.葉には白色の菌叢が葉脈に沿って条状に現れる.穂および葉の菌叢上には多量の分生子を形成する.

病原:
Ephelis japonica Hennings
糸状不完全菌類に属す.PDA培地上の菌叢は白色綿毛状で,のちに淡黄色から淡褐色となり,周縁部に切れ込みを生じることが多い.菌叢表面には,車座状~棚状に形成されるフィアライドをもつ分生子座を形成する.フィアライドは先端に向けて徐々に細まり,先端に分生子を単生する.分生子は無色,単細胞,針状,大きさ10.8~21.1×0.9~2.7μm.菌叢は10~35℃で生育し,生育適温は28℃(菌糸生育速度0.5~1.5mm/日).有性世代はBalansia属だが,我が国では未確認である.

伝染:
まだ接種に成功した事例はなく,詳細は不明であるが,被害植物の残渣上で越年し,翌年の伝染源となると推定される.また,菌糸が植物の生長点の周囲に絡みつくように伸長するため,刈り込み時に生じる傷により隣接する植物に伝染すると考えられる.水辺など温暖湿潤条件下で発生が多い.

参考:
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nilgs/diseases/contents/d25.htm#bミイラ穂病
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002734572
http://www.jircas.affrc.go.jp/english/publication/jarq/42-3/42-03-06.pdf

(2013.2.13 月星隆雄)

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パラグラスミイラ穂病.穂の病徴(月星隆雄)

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パラグラスミイラ穂病.葉の病徴(月星隆雄)

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パラグラスミイラ穂病菌.分生子(月星隆雄)