2015-07-15 最終更新
病徴:
海外では古くからマンダリンやスイートオレンジ類で発生しているが,わが国では高知県の日向夏(小夏)で半世紀前頃より発生がみられ,茶年輪症,バームクーヘン症と呼ばれている.海外では幹にくぼみが見られるが,日向夏では見られていない.主幹,亜主枝,枝の切断面の年輪部が茶褐色となり,2~5年生枝の表皮と木部の境界からヤニの吐出が見られる.症状が激しい場合は,枝幹の分岐部および樹皮の亀裂からヤニの吐出が見られる.樹勢が衰弱し,結実が悪くなり,特に,ハウス栽培で症状が助長される.
病原:
病原菌は未確認である.診断方法として,前述の各種症状,特に2~5年生枝の切断面からのヤニの吐出を観察する.生物検定法は,ドゥイートタンゴールまたはラフレモン実生苗木を検定植物とし,被検樹の穂木を数箇所接種して約22~23℃に置くと,新葉にカシ葉状斑(oak-leaf patterns)や葉脈斑点を生じる.これらの症状は短期間で消失する.健全日向夏苗木に被検樹の穂木を数箇所接種すると,1~2年後にヤニの吐出が見られる.
伝染:
現地では,発病樹から採取した穂木を用いて苗木増殖すると発病が見られること,また,発病樹の穂木を健全日向夏苗木に接種すると,1~2年目に接種部にヤニの吐出がみられることから,接ぎ木伝染する.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002736586
http://www.ivia.es/iocv/archivos/proceedingsXIII/13th346_348.pdf
(2011.12.16 家城洋之)