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セイヨウナシ黒斑細菌病

こくはんさいきんびょう

Bacterial black spot

2015-07-15 最終更新

病徴:
葉,果実,枝,花器に発生する.葉では黄緑色のハローを伴う黒色不整形の斑点を生じる.落葉はしない.果実では,おもに直径1~5mmの円形の黒色斑点を生じる.黒斑部と健全部との境界は明瞭であり,黒斑部の表面は壊死,コルク化し,果実の肥大に伴い病斑部は陥没する.果肉の軟化や腐敗は伴わない.新梢では緑枝部位が黒変,萎凋し,やがて枯死する.花器では落花期以降に花弁や雌ずいの褐変,花床部および花軸の黒変や枯死,黒色斑点を生じることもある.

病原:
Pseudomonas syringae pv.syringae van Hall 1902
細菌の一種で,桿状,1~数本の単極性鞭毛を有する.LB培地上での培養性状は,円形,中高,半透明,白色,湿光を帯びた集落を形成する.人工接種ではニホンナシの果実に病原性を示すが,リンゴ,モモの果実には病原性を示さない.

伝染:
葉では5月中旬から発生し,7月にかけて増加する.果実や新梢では,葉での発生の増加に伴い6月頃から発生する.7月以降の発生は少ない.伝染源等発生生態の詳細は不明である.

(2011.11.30 阿部 篤智)

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セイヨウナシ黒斑細菌病.葉の病徴(阿部篤智)

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