2015-07-15 最終更新
病徴:
全身感染し,地上部全体に病徴が現れる.葉には,葉脈に沿って黄緑色濃淡のモザイク症状を生じる.葉が奇形することも多い.また,ウイルスの系統によっては,葉にすじ状のえそ症状を生じることもある.病株は一般に生育不良で短小となりやすく,萎縮する.果実にはまれに奇形を生じる.なお,日本では未報告であるが,海外では,芯腐れ系統による未展開葉の壊死が知られる.
病原:
キュウリモザイクウイルス Cucumber mosaic virus(CMV)
直径28~30nmの小球形粒子で,通常は4種の1本鎖RNA(RNA1:3361 b,RNA2:3051 b,RNA3:2217 b,RNA4:1034 b) をもつが,サテライトRNAが付随することもある.一般にCMVの不活化温度は55~75℃,希釈限界10-4~10-5,保存限度2~8日である.宿主域が非常に広く,ウリ科,キク科,ナス科など45科190種以上の植物を宿主とする.
伝染:
モモアカアブラムシをはじめとする70種以上のアブラムシによって非永続伝搬する.これらのアブラムシはバナナ上ではコロニーを形成しないため,バナナからバナナへの伝染は極まれであり,ほかのCMV感染植物からのアブラムシ伝搬と罹病した親個体からの株分けが原因とみられる.汁液でも伝染するが,種子伝染と土壌伝染は認められない.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002731704
(11.10.28 古屋典子)