2015-07-15 最終更新
病徴:
静岡県における発生は,9月下旬挿し苗および10月下旬のビニルハウス内定植の栽培型において,11月中旬頃より先端部の葉がしおれる症状が圃場内に点在する.発症株は,地際部付近の茎が飴色~深緑色に軟化・腐敗する.さらに症状が進むと,病斑上に白い菌糸がまとわりつき,茎の内外に直径5mm程度の黒色菌核を形成する.最終的に株全体が枯死に至る.
病原:
Sclerotinia sclerotiorum(Libert)de Bary
子のう菌類に属す.不完全世代のPDA培地上の菌叢は白色で,黒色鼠糞状の菌核を9cmシャーレ1枚あたり平均18個形成する.大きさは,4~10×2~5mmである.完全世代は子のう盤を形成する.菌核髄組織は宿主細胞を含まず,子のう盤は杯状,子のう盤外皮層の表層を構成する細胞は球状の細胞からなる.子のう盤の直径は2~5mm,子のう盤周縁組織は菌糸状,子のうの大きさが平均112×7.5μm,子のう胞子は無色,単細胞.同一性で核数が2,大きさが平均9.5×4.7μmである.
伝染:
地表および土壌中に残った菌核から直接伸長した菌糸または菌核から生じた子のう盤由来の子のう胞子が次作の伝染源になると考えられる.
(2011.11.30 外側正之)