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デルフィニウム半身萎凋病

はんしんいちょうびょう

Verticillium wilt

2015-07-15 最終更新

病徴:
下葉から徐々に萎凋し,やがて上位葉にも及んで植物全体が枯死する.根の褐変は少ないが,地際部維管束は褐変する.維管束細胞内には菌糸が観察される.被害は1番採花時(2~4月)よりも2番採花(6~7月),3番採花と気温の上昇とともに著しくなる.パシフィック・ジャイアント系の品種に発生がみられる.

病原:
Verticillium tricorpus I.Isaac
糸状不完全菌類に属する.PDA培地上での菌叢ははじめ黄色,のち黒色になる.分生子柄上にフィアライドが輪生する.分生子は無色,単細胞,大きさ5.0~7.5×2.5~3.7μm.本菌は三種類の耐久器官(微小菌核,厚壁胞子および休眠菌糸)を形成する.適温は20℃.本菌は従来から半身萎凋病菌として知られるV.dahliaeとは初期の菌叢色,生育適温(25℃),耐久器官の種類数(微小菌核のみ)および宿主範囲が異なる.本菌はデルフィニウムのほかラ-クスパ-に病原性をもち,トマト,ナスおよびピ-マンには病原性をもたない.

伝染:
詳細は不明であるが,微小菌核ほかの耐久器官が土壌中で残存し第一次伝染源になると考えられる.

(2011.12.8 築尾嘉章)

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デルフィニウム半身萎凋病.自然発病株の地上部.萎凋と黄化(築尾嘉章)

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デルフィニウム半身萎凋病.発病株の茎切断面.維管束の褐変(築尾嘉章)

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デルフィニウム半身萎凋病.接種株の地際部茎切断面.維管束の褐変(築尾嘉章)