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アジュガ株枯病

かぶがれびょう

2015-09-25 最終更新

病徴:
根と葉茎に発生する.地際茎部に暗緑色水浸状の病斑を生じ,やがて下葉の葉柄基部や根部に進展,株全体が萎凋し,枯死する.罹病部には小黒粒(分生子殻)を散生あるいは群生し,多湿状態では,頂部から淡黄色の糸状に巻いた菌体(分生子角)が溢れ出る.

病原:
Phoma eupyrena Saccardo
分生子果不完全菌類に属す.分生子殻は宿主組織に埋没あるいは半埋没して形成され,子座は認められない.分生子殻は褐色~暗褐色,類球形~洋梨形,頂部は短頸状となり,先端に殻孔が開口し,ルゴール液に無反応であり,高さ94~241μm ,幅94~198μmである.分生子は分生子殻内壁のアンプル形の細胞(フィアライド)からフィアロ型に生じる.

伝染:
病原菌は罹病残渣中で生存し,最初の伝染源となる.二次伝染では分生子の飛散によりまん延すると考えられる.

参考:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ktpps1954/1998/45/1998_45_135/_pdf

(2012.1.23 竹内純,堀江博道)

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アジュガ株枯病.外葉から枯死する(竹内純)

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アジュガ株枯病.茎の地際部が暗褐色~黒色に腐敗し,葉柄基部も腐敗する(竹内純)

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アジュガ株枯病.罹病部には丘状に膨らんだ分生子殻が形成される(竹内純)

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アジュガ株枯病.病患部に生じた分生子殻の断面(竹内純)