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クロッカス葉枯病

はがれびょう

Leaf blight

2015-07-15 最終更新

病徴:
秋咲きクロッカス(サフランCrocus sativus L.)で開花直後から,葉に赤褐色の細点が絣状に現れ,やや凹陥した類円形~不整形の褐斑となる.病斑部で葉が屈曲したり,葉先から枯死して巻曲を伴い,越冬前に株枯れとなることもある.枯死葉上に微細な菌核をつくる.球根の罹患状態は定かではない.春咲きクロッカスも4月頃から発病が目立つ.

病原:
Botrytis tulipae(Libert)Hopkins
糸状不完全菌類に属す.病斑上の分生子柄は,長さ0.2~1mmで樹枝状の分枝は少なく,真直か屈曲して褐色,隔壁部でわずかに縊れることがある.分生子は単細胞で無色,楕円形~倒卵形で,9~20×7.5~15μm.L/B比は1.42.黒色の菌核は半球形盤状で径1~2mm.菌叢は5~35℃で生育し,生育適温は25℃付近.PSA培地上暗黒条件下18日間での増殖器官の形成は,分生子は10~25℃,小型分生子は15~30℃,菌核は20~25℃の各温度範囲内で行われ,殊に菌核は離散性で団塊をつくらず,大きな集塊,団塊をつくるBotrytis gladiolorumB.convolutaとは異なって,B.tulipaeの特徴を示す.

伝染:
罹病植物残渣とともに菌核の形で土壌中で越年して伝染源となるが,チューリップの球根栽培地帯では最もふつうの病害であるから注意を要する.

(2011.12.5 高野喜八郎)

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クロッカス葉枯病.Botrytis cinerea による灰色かび病とはまぎれやすい(高野喜八郎)