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最新情報 植物病害

アスター茎えそ病

くきえそびょう

Stem necrosis

2015-07-15 最終更新

病徴:
幼苗時から発生するが,最も病徴がはっきりするのは出蕾~開花期である.株の中位~上位の茎に明瞭なえそを生じ,葉や葉柄に退緑,黄化,えその症状を伴う.症状が進むと葉は垂れ下がり,重症株は茎が折れ曲がる.本病のまん延は急速で,圃場内のすべての株が発病することもある.発病株は全身にえそ症状が生じるため,商品価値を失う.トマト黄化えそウイルスTomato spotted wilt virus(TSWV)による症状と酷似し,病徴による識別は困難である.

病原:
キク茎えそウイルス Chrysanthemum stem necrosis virus(CSNV)
Tospovirusに属するマイナス鎖RNAウイルスである.ウイルス粒子は径約100nmの亜球状で,エンベロープ(脂質膜)をもつ.ウイルスは接種によりキク科,ナス科等の多くの植物に全身感染し,宿主範囲は広い.

伝染:
ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)およびF.schultzei(国内未記録)によって永続伝搬される.1~2齢の幼虫だけがウイルスを獲得することができ,その後,成虫となってウイルスを伝搬する.種子伝染,土壌伝染,管理作業等による汁液伝染の報告はない.発生が確認された圃場で,本病を媒介するアザミウマ類が多発していると,本病が多発生する.なお,キク,トマトでは大きな被害を生じることが多く,キクの感染苗が伝染源となる事例が散見される.

参考:
http://www.springerlink.com/content/83547h7h303277m0/

(2011.11.22   桃井千巳)

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アスター茎えそ病.茎のえそ症状(守川俊之)JGPP 77:143より転載

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アスター茎えそ病.全身のえそ症状(守川俊之)JGPP 77:143より転載