2015-07-15 最終更新

病徴：
花弁および茎葉に発生し，花弁の発病が多い．花弁でははじめ白色の小斑点を生じる．病勢が進展すると褐色の病斑が花器全体に進展して軟化腐敗し，多湿条件では罹病部に淡灰褐色の分生子を形成する．茎葉では罹病した花器や落下した花弁が付着したところから発病することが多く, 暗緑色～褐色の水浸状の病斑が広がる．

病原：
Botrytis cinerea Persoon:Fries
糸状不完全菌類に属する．PSA20℃で培養した菌叢ははじめ白色のちに淡灰褐色となり, 培地上に黒色, 盤状, 不整形の菌核を形成する．分生子柄は淡褐色で樹枝状に分岐し, その上に多数の分生子を出芽的に形成する．分生子は無色～淡褐色, 単細胞, 円形～楕円形～倒卵形で，大きさは7～12×6～9μmである．菌糸の伸長は5～30℃の範囲で認められ, 35℃では生育せず, 生育適温は20℃付近である．本菌はきわめて多犯性で，多くの花卉類，野菜類や果樹類に灰色かび病を引き起こす．

伝染：
本菌は腐生性が強く，罹病組織や有機物上で繁殖する．罹病部や残渣上に形成された分生子が飛散してまん延するほか，菌糸や菌核が越冬して伝染減となる．やや冷涼な高湿条件で多発する．

参考：
https://kakibyo.dc.affrc.go.jp/list/detail.php?data_id=37

（2011.11.22　菅原敬）

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