2015-07-15 最終更新
病徴:
菌掻き後の菌床表面が薄い白色の微細な気中菌糸におおわれる.種菌の感染に起因する場合には菌掻き前の種菌が粉状になる.いずれも感染した培地表面からは子実体原基がまったく形成されない.特有の薬品臭がするのが罹病培地の特徴である.微細な結晶体をつくることが多く,菌床表面に多数の微小な結晶の光るのが認められる.
病原:
Actinomycetes
病徴が菌床表面に限定されることから,好気性のStreptomyces属である可能性が高い.病原菌がビン口とキャップの間から侵入しても,好気性のために培地内部への繁殖は少なく,菌床表面に留まっている.エノキタケ以外の食用きのこへの感染事例はなく,エノキタケにとくに病原性が高いと考えられる.
伝染:
病原菌は土壌中や培地基材として用いるおが粉中にも生存し,胞子を飛散する.空気中の胞子が菌床表面に侵入して感染することがもっとも多く,接種時,放冷時ばかりでなく,培養中にも感染する.放線菌に感染した種菌を使用した場合は種菌が粉状となり,さらにほかの培地への二次的な感染源となる.
(2011.11.26 山中勝次)