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最新情報 植物病害

トマト株腐病

かぶぐされびょう

Foot rot

2015-07-15 最終更新

病徴:
定植2週間後~収穫はじめに発生する.収穫はじめに発生した株は青枯れ症状を呈するため,地上部の病徴は青枯病に似るが,本病は地際部が褐変しているため識別できる.地際部の褐変は,地表面付近に発生するため株元の土を軽く取り除いて観察するとしおれる前の発病株も発見できる.褐変した地際部は細くくびれ,軟化・腐敗し,この部分に菌糸が充満する.発生時期は3~8月である.

病原:
Rhizoctonia solani Kühn
糸状不完全菌類に属す.主要な病原菌はジャガイモ黒あざ病菌と同じAG-3PTであり,トマト葉腐病(病原菌AG-3TM)とは,病原菌が異なる.トマト株腐病菌はジャガイモに黒あざ病を起こし,ジャガイモ黒あざ病菌もトマトに株腐病を起こす.菌糸は無色で幅6~10μm,主軸から菌糸が分岐し,分岐部はくびれ,分岐部付近に隔壁を形成する.菌糸は無色で幅6~10μm,主軸から菌糸が分岐し,分岐部はくびれ,分岐部付近に隔壁を形成する.R. solaniは多犯性であるが,AG-3PTはこれまでジャガイモとトマトからしか分離されていないため,自然界の宿主はこの2種である.病原菌のPDA培地上における生育適温が20~25℃,35℃では生育せず,比較的低温性であるが,圃場では真夏にも発生が認められる.

伝染:
菌核で土壌伝染すると考えられる.病原菌はジャガイモ黒あざ病菌と同じ菌であるが,ジャガイモ栽培跡地でトマトが栽培されることはほとんどないため,トマトハウス内で伝染環が完結していると考えられる.

参考:
http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/sinhassei/html/H18/1804.htm

(2011.11.30 三澤知央)

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トマト株腐病.青枯れ症状を呈した発病株(三澤知央)JGPP 76:310-319より転載

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トマト株腐病.発病株地際部の褐変腐敗(三澤知央)JGPP 76:310-319より転載