2015-07-15 最終更新
病徴:
静岡県における発生は,10月上旬のガラスハウス内定植の栽培型において,2月はじめ頃より,株全体が萎縮する症状が圃場内に点在する.地際部付近の茎(特に分岐部)が褐変し白色の菌糸が観察される.褐変は徐々に上部にも進展し,最終的に株は乾燥・枯死する.茎の所々に,直径5mm程度の黒色菌核が散在する.
病原:
Sclerotinia sclerotiorum(Libert)de Bary
子のう菌類に属す.不完全世代のPDA培地上の菌叢は白色で,黒色鼠糞状の菌核を9cmシャーレ1枚あたり平均28個形成する.大きさは,4~14×2~5mmである.完全世代は子のう盤を形成する.菌核髄組織は宿主細胞を含まず,子のう盤は杯状,子のう盤外皮層の表層を構成する細胞は球状の細胞からなる.子のう盤の直径は2~5mm,子のう盤周縁組織は菌糸状,子のうの大きさが平均175×10μm,子のう胞子は無色,単細胞,同一性で核数が2,大きさが平均10.6×4.6μmである.
伝染:
地表および土壌中に残った菌核から直接伸長した菌糸または菌核から生じた子のう盤由来の子のう胞子が次作の伝染源になると考えられる.
(2011.11.30 外側正之)