2015-07-15 最終更新
病徴:
おもに葉柄,茎に発生する.はじめに葉柄や葉柄基部近くの主茎の小さな亀裂から水浸状の腐敗を生じる.乾燥状態が続くと,赤褐色になり病斑の進展が止まる.一方,病勢が進むと,軟化・腐敗部は褐色になり拡大するが,他作物でみられる軟腐病特有の悪臭は感じられない.病勢が甚だしいものは病斑からの菌泥の流出が認められ,腐敗部より上部が倒伏する.
病原:
Pectobacterium carotovorum(Jones 1901)Waldee 1945 emend. Gardan, Gouy, Christen & Samson 2003
〔異名Erwinia carotovora subsp.carotovora(Jones 1901)Bergey,Harrison,Breed,Hammer and Huntoon 1923〕
桿状細菌の一種で菌体周囲に2~8本の鞭毛を有し,グラム陰性の通性(条件的)嫌気性菌である.大きさは1~3×0.6~0.9μmである.本病原細菌は変法ドリガルスキー培地上で中央部が黄色の集落を形成する.菌の生育適温は30℃前後,多犯性の細菌で,アブラナ科,ナス科,ユリ科などイネ科やマメ科を除く各種の作物の軟腐病の病原菌でもある.
伝染:
病原細菌は土壌中で長期間生存し,摘葉痕など茎葉の傷口から侵入する.被害作物の残渣が伝染源となり,連作で多発する.施設栽培より露地栽培の方が発病は多く病勢は激しい.
(2011.11.29 藤井直哉)