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ブロッコリー花蕾腐敗病

からいふはいびょう

Head rot

2015-07-15 最終更新

病徴:
花蕾に発生する.はじめ花蕾の一部に濃緑色で水浸状の病斑が形成される.激しく発病すると,花蕾全体が腐敗し,消失する場合も認められる.発病後の気象が好天に恵まれると,病斑は褐色~黒褐色に変じ,進展が緩慢となる.7月下旬~8月中旬に収穫期を迎える作型で特に発生しやすい.

病原:
(1)   Pseudomonas marginalis pv.marginalis(Brown 1918)Stevens 1925
(2)   Pseudomonas viridiflava(Burkholder 1930)Dowson 1939
(3)   Pseudomonas sp.
(4)   Pectobacterium carotovorum(Jones 1901)Waldee 1945 emend.Garden,Gouy,Christen & Samson 2003
〔異名Erwinia carotovora subsp.carotovora(Jones 1901)ergey,Harrison,Breed,Hammer and Huntoon 1923〕
Pseudomonas属菌では3種が関与し,グラム陰性,好気性,鞭毛を有する桿菌である.肉汁寒天培地に乳白色の集落を形成する.いずれの菌種も30℃前後が好適温度である.Pectobacterium属菌はグラム陰性の通性嫌気性菌で周毛を有する桿菌である.肉汁寒天培地で乳白色の集落を形成する.30~33℃が生育適温である.Pectobacterium Erwinia)属菌は多犯性で多くの作物に寄生し,軟腐症状を起こし,ブロッコリーでは地際部から発病(軟腐病)を起こす場合もある.

伝染:
被害植物の残渣中で細菌が生存し,伝染源となる.これらが降雨によって植物体上に運ばれて発病するが,多雨で,夜温(最低気温)が高いと多発する.窒素多肥は発病を助長する.

参考:
http://www.agri.hro.or.jp/center/kenkyuseika/gaiyosho/h13gaiyo/2001702.htm

(2011.12.6 堀田治邦)

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ブロッコリー花蕾腐敗病.初期の濃緑色病斑(堀田治邦)

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ブロッコリー花蕾腐敗病.花蕾全体の腐敗(堀田治邦)