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レタス立枯病

たちがれびょう

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2015-07-15 最終更新

病徴:
ふつう10月下旬頃から発生しはじめ,11月に入ると病徴が目立つようになり,12月上中旬まで発生する.定植20~30日後のレタスで発生し,下葉から黄化しはじめ,のちに株全体が萎凋して立枯症状となる.このような罹病株は根が褐変し,水浸状に腐敗するとともに茎基部がくびれている.トンネル被覆される12月上中旬以降は立枯症状の発生は少なくなる.

病原:
(1)   Pythium uncinulatum Plaats-Niterink & Blok
(2)   Pythium irregulare Buisman
(3)   Pythium spinosum Sawada
〔病名目録1-3:Pythium sp. 〕
病原はいずれも卵菌類に属する.本病の病原としてはP.uncinulatum が最も重要で,次いでP.irregulare,P.spinosum の順である.P.uncinulatum は球形で先端が鋭い円錐形の突起のある造卵器をもち,その大きさは平均直径35μmで,中に平均直径30.1μm,球形で非充満性の卵胞子を蔵する.造精器は1~5個が造卵器に側着する.遊走子のうは球形で,その大きさは平均直径30.0μmで,遊走子を形成する.P.irregulare は球形で平滑でまれに1~3本の突起のある造卵器をもち,その大きさは平均直径19.2μmで,中に平均直径18.2μm,球形で非充満性の卵胞子を蔵する.造精器は通常同菌糸性で1~2個が造卵器に側着する.遊走子のうは類球形またはレモン型で,その大きさは平均直径16.5μmで,遊走子を形成する.P.spinosumは球形で突起のある造卵器をもち,その大きさは平均直径18.8μmで,中に平均直径17.5μm,球形で充満性の卵胞子を蔵する.造精器は通常同菌糸性で1個が造卵器に側着する.Hyphal swellingは球形または類球形で,その大きさは平均直径23μmで,遊走子を形成しない.P.uncinulatumは生育温度が5~30℃,生育適温が20℃で,P.irregulareおよびP.spinosumは生育温度が5~35℃,生育適温が25~30℃である.

伝染:
病原菌はいずれも土壌中あるいは被害残渣中に卵胞子で年越し,次年度の伝染源になる.土壌湿度の高い場合に発生しやすい.

(2011.11.18 楠幹生)

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レタス立枯病(楠幹生)