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チャ斑点細菌病

はんてんさいきんびょう

Bacterial spot

2015-07-15 最終更新

病徴:
最初葉脈間や中肋,葉柄部に水浸状の濃緑褐色の小斑点が現れ,その後拡大し,暗褐色の円形または不整形の斑点を形成する.病徴は展開したばかりの葉より,やや成熟した葉に多く見られる.

病原:
Acidovorax valerianellae Gardan,Stead,Dauga & Gillis 2003
キングB培地(25℃条件下)で培養した場合,病原菌は培養3日後には丘状,全縁,平滑で表面に湿光を帯びた白色円形のコロニーを形成する.病原菌は,1本の極鞭毛を有するグラム陰性の好気性桿菌で,OF試験はO/-型,キングB培地上で蛍光色素を産生せず,オキシダーゼ活性が陽性で,細胞質内にポリβ-ヒドロキシ酪酸を集積する.カタラーゼ,アンモニアの産生,Tween20の加水分解の諸性質は陽性で,40℃下での生育,硝酸塩の還元,硝酸呼吸,デンプンの加水分解,VP試験,MR試験,レシチナーゼ活性,チロシナーゼ活性,レバンの産生,ジャガイモ腐敗およびタバコ過敏感反応の諸性質は陰性である.病原菌は単一炭素源として利用できるのものは少なく,グリセロール,フルクトース,グルコン酸,乳酸,ベタイン,β-アラニン,L-トリプトファンなどを利用する. アピ20NEキットを用いた簡易同定において,病原菌のプロファイルインデックスは0210464もしくは0200464となる.また本病原菌は,チャ以外の植物に対して病原性を示さない.品種では「あさつゆ」と「さえみどり」に特異的に本病の発生が見られる.

伝染:
病原菌の伝染形態は不明であるが,台風襲来時に発生が認められる.

参考:
http://www.jppa.or.jp/shuppan/images-txt/20070507.pdf

(2011.11.9 富濵毅)

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チャ斑点細菌病.幼木園での発生状況(富濵毅)

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チャ斑点細菌病.葉裏から見た病徴(富濵毅)