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ライムギかさ枯病

かさがれびょう

Bacterial halo blight

2015-07-15 最終更新

病徴:
葉に,はじめ小さな水浸状の斑点が現れ,しだいに中心部が壊死し,その周囲が黄化して退緑するかさ枯症状を呈する.病斑の大きさは,ハローを含めて5~20mmの円形から楕円形となる.壊死した病斑部を検鏡すると細菌の漏出が確認できる.

病原:
Pseudomonas syringae pv.coronafaciens(Elliott 1920)Young,Dye & Wilkie 1978
GammaproteobacteriaPseudomonas属に属す.短桿状で数本の極鞭毛を有する.グラム陰性,好気性で,O-F試験はO型を示し,緑色蛍光色素を産生して,40℃ 下での生育,アルギニンジヒドロラーゼ活性およびオキシダーゼ活性は陰性,スクロースを利用し,L-酒石酸を利用しない.ジャガイモ半合成寒天培地上で,白色・円形・全縁・丘状のコロニーを形成する.

伝染:
罹病植物残渣で生存している病原細菌が,伝染源となると考えられる.さらに,病原細菌は,エンバクかさ枯病の病原でもあり,エンバクなどイネ科植物にも病原性を示すことから,これらの罹病植物が伝染源となる可能性もある.

(2011.11.30 篠原弘亮)

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ライムギかさ枯病.病斑は白化してよく目立つ(篠原弘亮)日植病報 69:136より転載