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マンゴーツメハダニ

Oligonychus coffeae (Nietner)

英名 tea red spider mite

ダニ目ハダニ科

2015-07-15 最終更新

多種の農作物(主として果樹類とチャ)に寄生する広食性種であり,世界の熱帯・亜熱帯地域に広く分布.国内ではマンゴーの主要害虫であり,奄美大島以南の琉球列島全域にわたる分布が確認されているほか,千葉県において沖縄県から導入したマンゴーで発見された事例もある.侵入種の可能性もあるが詳細は不明である.

形態:
雌成虫の体長は約0.4mm.雌雄とも胴前体部は鮮やかな赤色,後体部は暗い赤色.雄挿入器は腹方に曲がり,末端の拡張部は小さい.卵は赤色で卵柄をもつ.同様にマンゴーの害虫であるシュレイツメハダニと比較して小型であり,前・後体部間の色調の差がより明瞭であることから,2種の区別は比較的容易である.マテバシイに寄生するブナカツメハダニOligonychus gotohi Eharaと形態が酷似するが,マテバシイからマンゴーツメハダニが発見されたことはないため,種の区別上,問題はないと思われる.

加害作物:

【果樹】バンレイシ,マンゴー,レイシ,レンブ,リュウガン.
【特用作物】チャ.

被害と生態:
主として葉表に寄生し,吸汁箇所を白化あるいは褐変させる.沖縄県では周年発生しており,シュレイツメハダニとともにマンゴーの主要害虫となっている.マンゴー果実の表面で増殖し,被害をもたらすこともある.沖縄県においては,本種は農作物以外にヤブツバキ(ツバキ科)やホルトノキ(ホルトノキ科),モモタマナ(シクンシ科),ハンノキ(ハンノキ科)等への寄生頻度が高く,これらが発生源として重要であると考えられる.なお,シュレイツメハダニはこれらの植物から発見されないため,これら2種のハダニは,同一作物の害虫であるにもかかわらず,発生源となりうる野生寄主を共有していない.
(2011.12.21 大野豪)

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マンゴーツメハダニ雌雄成虫と卵(右下)(後藤哲雄)

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マンゴーの葉裏に寄生するマンゴーツメハダニの各ステージ(宮城聡子)

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マンゴー葉の被害(宮城聡子)

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マンゴー果実の被害(宮城聡子)