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ヒメコスカシバ(旧名ヒメスカシバ)

Synanthedon tenuis (Butler)

チョウ目スカシバガ科

2015-07-15 最終更新

カキではフタモンマダラメイガ(クロフタモンマダラメイガ)とともに枝幹害虫として知られている.クリのほかカキ(カキノキ科),ヤナギの一種(ヤナギ科),カシワ,アラカシ(ブナ科),クマイチゴ(バラ科),フジ(マメ科),クマシデ,カワラハンノキ(カバノキ科)の6科9種類を加害することが報告されている.日本各地および朝鮮半島,中国東北部に分布する.
なお,既刊「日本農業害虫大事典」p323のヒメスカシバは本種と同一種である.

形態:
成虫はハチに似た外観で,開張15~20mmである.体色は,青みがかった光沢を有する黒色である.前翅,後翅とも透明で,前翅の外縁は黄色味がかる.腹部の第2,4,6節後縁に黄色の細い帯がある.雄交尾器の把握器は先端部で広がる.幼虫は白色の体色で,頭部は淡い褐色を呈する.

加害作物:
【果樹】カキ,クリ.

被害と生態:
幼虫はカキの樹皮下を食害し,食害部位に細かい虫糞を排出する.とくに主枝や亜主枝の分岐部や枝の付け根あたりの食害が多い.若い枝の分岐部位が大きく食害されると枝の衰弱,枯死につながり,また,目立った被害が認められない場合でも,強風,誘引作業等で折れやすくなる.本種の被害とフタモンマダラメイガ(クロフタモンマダラメイガ)の被害は外見上識別することは困難であるが,本種は羽化後,加害部表面に蛹殻を残すことから識別できる.成虫は5~6月,7~9月の年2回発生する.
(2011.10.3    新井朋徳)

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カキ葉上で静止するヒメコスカシバ成虫(新井朋徳)

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樹皮下を食害するヒメコスカシバ幼虫(新井朋徳)

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加害部位に残されたヒメコスカシバ蛹殻(新井朋徳)