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ハマナスホソバヒメハマキ

Lobesia yasudai Bae & Komai

チョウ目ハマキガ科

2015-07-15 最終更新

ハスカップの果実内部を幼虫が加害する.北海道での発生事例から,山林に接したり周囲を樹林に囲まれたような環境の園地で被害が多発する可能性がある.本州および北海道に分布する.

形態:
成虫は体長6mm程度で,体色は明るい黄褐色で,翅には淡褐色から暗褐色の複雑な模様が認められる.幼虫は体長1cm弱で体色は黒色.

加害作物:
【果樹】ハスカップ.

被害と生態:
6月下旬から7月上旬に幼虫はハスカップの葉を絹糸で葉巻状に綴り,この近くの果実に被害が多い.幼虫は果実内部に侵入食害する.被害果実は収穫時には選別が困難だが,数日間で表皮が萎縮し,のちに果皮に孔を開けて内部から幼虫が脱出すると共に顆粒状の虫糞を排出する.また,果実の表面を溝状にかじり削るような加害も行う.そのため,被害果周辺の果実共々商品価値が損なわれる.
北海道での被害発生時には,加害個体は7月下旬に羽化した.成虫は5~7月と8月に出現し,おそらく年2世代と推定されている.野草では,キク科植物の花床や子実,ノリウツギの子実,バラ科植物の葉などへの加害が知られている.本種を含む Lobesia 属は一般に花や果実を食害することが多い.一方,巻いた葉やキク科植物の頭花,果実のヘタの部分や害虫による加害により傷ついた部位など,狭い隙間のある場所を好んで摂食する性質があり,植物の種類だけでなく形状でも餌を選択しているものと思われる.
(2011.10.25 岩崎暁生)

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ハマナスホソバヒメハマキ成虫(岩崎暁生)

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ハマナスホソバヒメハマキ幼虫とハスカップの被害果(岩崎暁生)