2015-07-15 最終更新
広食性で,主として草地に生息し,幼虫はマメ科牧草を食害するほか,畑地へ侵入して畑作物や花卉に被害を生じることがある.国内では北海道,本州,九州,国外ではヨーロッパ(英群島を除く)から中近東の一部,シベリアを経て極東ロシア大陸部,朝鮮半島,中国に分布する.
形態:
成虫は開張14~19mm,黄色で前翅の斑紋は暗赤褐色,中央斜条,点状の翅頂前紋,および基部紋からなるが,ときに退化することがある.幼虫の頭部はやや褐色を帯びた淡黄色,胴は淡黄緑色,成長すると体長15mmを超える.蛹は褐色.
加害作物:
【畑作物】ダイズ.
【果樹】リンゴ(苗木).
【牧草・飼料作物】アルファルファ,シロクローバ.
【花卉】リンドウ.
被害と生態:
幼虫はキク科を主とする広葉の草本の梢頭を綴るほか,展開した葉は2枚を重ね,あるいは乱雑に巻いた中で食害し,まれには低木の下枝に発生することがある.蛹化は食害部位,またはその付近の葉縁を折り返した間で行う.草地では周年発生を繰り返すが,畑地には定着せず,近隣の草地から偶発的に侵入するものと考えられる.ダイズやリンゴ苗木の被害はごく軽微だが,北海道では栽培リンドウにかなり発生したことがあるという.場所によっては,他の花卉類にも発生する可能性があるだろう.成虫は北海道で6~9月,東北地方で5月末~10月に出現し,年2~3世代を経過するらしいが,世代の切れ目は判然としない.越冬態は未調査,おそらく中齢幼虫と推察される.産卵習性は不明.
(2011.10.10. 奥俊夫)