2015-07-15 最終更新
南アジア地域や台湾では茶の害虫として報告されており,1990年以降にアメリカのフロリダ地域で花木類(ホウオウボクDelonix regia)への加害が確認されている.日本国内では1973年に小笠原諸島父島,2000年に徳之島,2009年に種子島,沖縄本島ならびに宮古島でマンゴーへの加害が報告されている.通常,倒木・衰弱木などで繁殖する.
形態:
雌成虫の体長は約2.5mm.体色は光沢のある黒色で,口器,触角,脚は赤褐色,表面はまばらな黄色の毛におおわれる.前胸背板の前方3分の2は同心円状の鱗片状突起をそなえ,その後方は弱く点刻される.上翅の長さは幅の約1.2倍,点列部は浅く大きな点刻からなり,点列部には1列の細かな点刻列があり,それぞれの点刻は刺毛をそなえる.斜面部は隆起せず,側縁は縁取られる.
加害作物:
【特用作物】チャ
【果樹】マンゴー
被害と生態:
本種は通常倒木・衰弱木などで繁殖し,健全木には穿孔しない.成虫は木部に孔道を形成,その内壁に餌となるアンブロシア菌を接種し,繁殖した菌のみを成虫・幼虫ともに食餌する.幼虫は成虫の穿った孔道内のみで成育し,木部を食害しない.マンゴーに対する加害では,成虫が枯れ枝などの衰弱した部分から孔道を形成し,孔道の形成やアンブロシア菌を含む随伴菌類により,木部が腐朽し樹勢が衰えると考えられる.孔道は木部に形成され,穿入口から切断すると同心円状となり,孔道に沿って白い菌糸が叢生する.
(2011.11.11 山口卓宏)