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リンゴクビレアブラムシ

Rhopalosiphum oxyacanthae(Schrank)[= insertum (Walker) ]

英名:apple-grass aphid

ヨコバイ目アブラムシ科

2015-07-15 最終更新

1920年代から北海道のサンザシ属などで発生が認められていたが,1980年代中ころより青森県,山形県,福島県などのリンゴで被害が知られるようになった.北米原産と考えられ,北半球の温帯地方に広く分布する.最近オーストラリア,ニュージーランドでも発生が認められている.

形態:
無翅胎生雌虫は体長約2~2.5mm,緑色ないし黄緑色で,背面中央に濃緑色の縦すじを表す.触角は6節で体長の約1/2,二次感覚板を欠く.角状管は短い円筒状で,中央部での太さの約3倍長,先半部がごく軽い膨らみを示し,淡色で末端部がやや黒ずむ.尾片は淡色,舌状で角状管の長さの約1/2.幹母では触角が5節で無翅胎生雌虫におけるより短く,体長の約2/5.角状管も無翅胎生雌虫より短く,尾片の約1.3倍.

加害作物:

【果樹】リンゴ
【庭木】サンザシ,ナナカマド

被害と生態:
バラ科,とくにナシ亜科を一次寄主とし,日本ではリンゴ,サンザシ,ナナカマドなどから記録されている.リンゴでは春に越冬卵から孵化した幹母が展葉期の新梢の茎葉に寄生し,開花期ころになるとコロニーが発達して葉を裏面に巻き,縮葉を引き起こす.6月に有翅虫が出現して二次寄主へ移住し,リンゴからは姿を消す.二次寄主はイネ科植物で,日本ではエンバク,オオムギで生育することが飼育試験で確認されている.二次寄主では地際の茎や地下部に寄生する.秋に再び一次寄主に戻り,受精卵を芽の基部付近などに産み付け,これが越冬する.
(2011.10.10 宮崎昌久)

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ナナカマド新葉のリンゴクビレアブラムシ幹母成虫群(鳥倉英徳)

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リンゴクビレアブラムシ幹母成虫群(鳥倉英徳)