2015-07-15 最終更新
1965年にアメリカの温室キュウリで初めて発見され,被害が確認された.発生源は温室内に入れたピーナツ殻であった.日本では1972年3月に長崎県のハウスキュウリで最初に確認され,近年はシイタケ栽培や全国のコチョウラン栽培ハウスで多発し被害を与えている.
形態:
雄:体長0.38~0.46mm.コナダニ類では中型種.全体的な形態はケナガコナダニに似るが,前胴体部の濃色斑紋は明瞭で,第1跗節の第1感覚毛ω1は円筒状で先端はふくれない,陰茎はS字に軽く湾曲していることなどから識別できる.
雌:体長0.41~0.55mm.雄に似る.
加害作物:
【畑作物】温室栽培ダイズ.
【野菜】キュウリ.シイタケ
【花卉】カトレア,コチョウラン,デルフィニウム.
被害と生態:
北海道,本州,九州に分布する.本種は温室,ハウス内などに発生が限られ,比較的高温,高湿で多発する.ダイズでは明確な被害は認められない.
キュウリではハウス内育苗中に被害が認められている.コチョウランでは花粉を餌とするため花蕾に侵入する.被害株の蕾,花はしおれ,黄化して落下する.開花しても花弁,がく片がしおれる.デルフィニウムではシクラメンホコリダニ,チャノホコリダニとともに発生し,葉裏が褐変し,葉先が巻く.シイタケでは子実体およびほだ木に寄生し,生育が完全に停止する.また,子実体の出ていないほだ木に寄生すると,菌糸の発育が抑制され収穫皆無となる.
(2011.9.14 中尾弘志)