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トルコギキョウえそ萎縮病

えそいしゅくびょう

Necrotic stunt

2015-07-15 最終更新

病徴:
本病の病徴は,下葉の大型のえそ輪紋,頂部から数節にかけての退緑症状やねじれや萎縮,葉での輪郭明瞭な丸いえそ斑点,花の斑入りなどさまざまである.栽培施設内で坪状に点在する場合や,特定の畦前方からハウス後方に向かって激しく発生し施設全体に被害が及ぶ場合もある.本病は,高温期を経る抑制作型よりも,低温期が栽培期間となる5~6月収穫の促成~季咲き切り作型で発生が多い.

病原:
(1)   トマトブッシースタントウイルス Tomato bushy stunt virus(TBSV)
(2)   トルコギキョウえそ萎縮ウイルス(仮称) Lisianthus necrotic stunt virus(LiNSV)
両ウイルスとも,tombusvirusに属する径約30nmの球状粒子状で,TBSVはホウレンソウ,トマト,Datura stramonium,トウガラシ,センニチコウに全身感染し,LiNSVはD. stramoniumの上位葉に無病徴感染するものの,ホウレンソウ,トマト,トウガラシ,センニチコウには局部感染するのみである.これらのウイルスは,55℃以上で7時間以上,45~50℃で24時間以上,40℃で120時間以上遭遇すると活性が低下する.現在までに,これらのtombusvirusによるトルコギキョウのウイルス病害は,TBSVが静岡県と佐賀県で,LiNSVが長野県のみで確認されており,今後もほかの地域での発生が懸念される.

伝染:
本病原ウイルスは罹病残渣中などに粒子で生存し,伝染源となっている.また,本病原ウイルスは,物理的な接触により病徴再現されることから,OlpidiumPolymyxaなどの土壌菌の媒介を要せず土壌伝染すると考えられるが,さらなる検討が必要である.

(2012.1.26 藤永真史)

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トルコギキョウえそ萎縮病.葉に激しいえそを生じる(藤永真史)

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トルコギキョウえそ萎縮病.花の斑入り症状(藤永真史)