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最新情報 農業害虫

ホモノハダニ

Petorobia latens (Müller)

英名:brown wheat mite

ダニ目ハダニ科

2015-07-15 最終更新

徳島県のトンネル栽培ニンジンでは従来から被害が認められていたが,本種の発生が正式に確認されたのは2011年3月にニンジンの新規発生害虫として特殊報が発表された時である.

形態:
雌成虫の体長は約0.6mm,濃褐色~濃赤色.白く見える胴背毛は短く,ほとんどの毛は隣接する毛の起点に届かない.第1脚の長さは他の3脚の約2倍あり,目立つ.産雌単為生殖を営む.赤色の非休眠卵には柄がある.

加害作物:
ニンジンのほか,農業害虫検索で「ホモノハダニ」を検索

被害と生態:
幼虫,若虫,成虫が茎葉を吸汁し,葉が黄変し,生育が抑制される.ニンジンではトンネル栽培でのみ発生し,水稲裏作の圃場では被害が少なく,周年畑地状態の圃場における被害が多い.トンネル栽培ニンジンでは,2月から5月まで発生する.温度の高いトンネル中央部では周辺部にくらべて被害が激しい傾向がある.収穫時にトンネル被覆を除去したあとに降雨があると激減する.地表面と植物の地上部をすばやく活発に歩きまわる.産卵や脱皮は,地表面の土塊,植物残渣,トンネル支柱の資材等の表面で行う.脱皮前の静止期にはこれらの場所に集合する性質がある.高温になると白い膜に包まれた濃赤色の休眠卵を産むようになる.成虫は雌のみが発生し,雄はいない.

既刊p137:ダイズ,p274:イチゴを参照
(2011.10.1 亀代美香)

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ホモノハダニ雌成虫(後藤哲雄)

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ニンジン葉上のホモノハダニ成虫(亀代美香)

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ホモノハダニ非休眠卵(後藤哲雄)

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ホモノハダニ休眠卵(後藤哲雄)

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トンネル栽培ニンジンでの被害(亀代美香)

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左:正常株,右:被害株(亀代美香)