2015-07-15 最終更新
従来,沖縄県では土着とされていたが,九州本土以北では偶産蛾とされる種であった.1999年に愛媛県で発生が確認されて以降分布範囲を北上させ,2010年現在で四国,中国,近畿全県,愛知県,岐阜県に分布を拡大している.
形態:
成虫は開張50~70mmで,前翅が淡褐色の地色に橙黄色,黒色,白色の斑紋,後翅は黄色の地色に黒色の斑紋を有する.触角は雄が櫛歯状,雌が糸状である.卵は直径0.9mm,淡黄色まんじゅう型.終齢幼虫は体長40mmに達し,胴部背面は灰色がかった黒色で,橙黄色の瘤起が胴部背面~側面に散在し,そこから白く長い刺毛を生じる.
加害作物:
【果樹】イチジク
被害と生態:
若齢幼虫は葉裏から表皮を残すように食害するため,加害を受けた葉は葉脈の間が白い膜でおおわれたように見える.中齢以降の幼虫は太い葉脈を残して葉の大部分を食いつくすため,被害樹の上部の葉はうちわの骨がぶら下がっているような異様な様相になる.多発した場合は,樹全体の葉が一つ残らず食いつくされてしまうことがある.葉がなくなると未熟果の果皮も食害することがある.
年間の発生回数は4回程度,越冬は土中浅いところの土繭内の蛹で行う.成虫は夜行性で,日没直後に活発な飛翔活動が見られる.卵は食樹の若い葉の裏側に10~60卵程度の卵塊として産卵される.幼虫は若齢~中齢の間は葉裏に群生して食害する.発育が進むにつれて分散し,葉表にも生息するようになる.寄主植物としては,イチジクのほか,イヌビワ,オオイタビ,アコウ等,クワ科イチジク属の樹木が知られている.
(2011.9.12 窪田聖一)